事業者インタビュー パティスリー・ガレット

事業者インタビュー

パティスリー・ガレット

担当アドバイザー
西辻 宏道氏(有限会社千総 代表取締役)

創業から15年、現在の店舗に移転されてからは8年目となるパティスリー・ガレット。店主である久保さんは、知人の紹介で大阪商品計画に3期生として参加されました。

久保さんは、販路拡大・ブランディング強化を本格的に行うことで、自身のお店を地元の方々をはじめ、たくさんの人に知って頂いたいとの思いから、大阪商品計画に名乗りを上げました。

現在当サイトで紹介している12種類の風味豊かな「プレミアムガレット」ですが、大阪商品計画に参加するまでは、他の商品との十分な差別化ができておらず、あまり目立たない商品だったそうです。

今回の取材では、プレミアムガレット開発の道のりと販路拡大の経緯について、アドバイザーの西辻 宏道氏から受けたアドバイス内容とともに振り返りました。他の商品と横並びだったガレットが、どのように個性的な商品として生まれ変わったのかをご紹介します。

「赤ワインガレット」を「大阪産(もん)」として売り出す

「他の商品に埋もれてしまっているガレットを、どうすればお客様にアピールできる商品できるか」。商品のブランディングについて全く分からない状態で久保さんは一から学んでいきました。

まずアドバイザーの西辻 宏道氏から受けたアドバイスは「ガレットを『大阪産(もん)』としてアピールできるよう、大阪の食材を使ってはどうか?」ということでした。大阪で生産された農林水産物を用いることで、大阪府から「大阪産」の認定を受け、販路拡大の足がかりにしようという試みでした。

アドバイスを受けて久保さんがまず実践したことは、大阪の卵を用いてガレットを作ること。ところが「大阪産」の認定を受けることはできたものの、商品のインパクトとしては不十分でした。

そこで「卵だけでなく、様々な大阪の食材を使ってアピールしよう」と西辻氏からさらなるアドバイスを受けました。アドバイスを受け、久保さんがひらめいたのが「赤ワイン」を用いたガレットでした。

「赤ワインガレット」を「大阪産(もん)」として売り出す
「赤ワインガレット」を「大阪産(もん)」として売り出す

大阪の食材を用いたガレットの開発においては、たくさんの試行錯誤を重ねました。特に柏原の赤ワインを用いた「赤ワインガレット」の開発には苦労が多かったそうです。

久保さんは、まず赤ワインらしい色と味を出すために、どのような方法があるか卸先のワイナリーを直接訪問して相談しました。その中で受けたのが「ワイン製造時に出るぶどうの絞った皮を使ってはどうか」という提案でした。

風味・色ともに可能性を秘めたぶとうの皮でしたが、その活用方法について久保さんは何日も悩んだと言います。工夫を重ねた末、ワインとぶどう果皮とを10分の1の量に煮詰めて漉したものを生地に混ぜ込むことで、ようやく納得のいく現在の「赤ワインガレット」となったそうです。

次の課題はパッケージを含めたブランディングでした。パッケージロゴを書家に依頼し、掛紙やしおりには商品をイメージさせるようなイラストをあしらうことで、食べて美味しいだけでなく、貰って嬉しい商品へと変化しました。商品そのものだけでなく、ロゴ・掛紙・個包装袋など、細部に至るまでこだわったブランディング。徹底したブランディング戦略で、お客様の満足度が上がり、売れ行きも上々とのことです。

見えないところまでブランディングすることで、より安心できる商品に

ブランディング向上を図るための戦略はパッケージだけにとどまりません。西辻氏のアドバイスで「食品表示法の適合チェック」「衛生検査」を行うことで、商品のの安心・安全も確保されました。

こうした客観的な検査結果を取引先で提出することによって、百貨店などの販売店で取り扱ってもらえる機会が増え、1年間にわたって店外のマルシェでの出店も果たしました。マルシェ出店は継続的な販路拡大の場としては難しかったものの、いつもの店頭での販売とは異なり、たくさんのことが学べ、何より楽しむことができたと久保さんは振り返ります。

見えないところまでブランディングすることで、より安心できる商品に

大阪商品計画への参加を検討されている方へ

大阪商品計画への参加を検討されている方へ

大阪商品計画に参加して、社内意識の変化やお客様の満足度が変化するのを実感したという久保さん。「課題に向き合う日々の中、大変なことも多かったですが、たくさん考えた分、しっかりした商品へとつながる。商品への思いも今まで以上に強くなり、真心を込められるように意識も変わった」と振り返ります。

また、新たな人脈を形成できたことなども、参加して良かったと笑顔でお話されていました。今回の大阪商品計画を通じて心の変化もあり、今までよりも外に出ていろんな経験を重ねる機会が増えたそうです。

「小さい店であっても学べることはたくさんあります。視野も人脈も広がります」と今では知人にもどんどん大阪商品計画を紹介してくださっています。ただ美味しいものを作るだけではなく、お客様に買ってもらえる商品作りを学べる大阪商品計画は、プロジェクトに参加している間だけでなく、プロジェクトの終了後も、そのマインドを活かし続けることのできる、大きな学びと変化の場なのではないでしょうか。